歯周病とは?
歯周病の原因とは?
歯周病は歯垢(プラーク)が原因で引き起こす病気です。歯垢とは細菌のかたまりの事を言います。歯垢が歯と歯ぐきのすき間に入り込み炎症を起こします。
歯垢を約2日~3日ほど放置すると歯石になります。歯垢の状態では丁寧な歯みがきで落とすことが出来ますが歯石は歯みがきでは除去することが出来ません。この歯石も歯周病の原因となります。
歯周病が及ぼす全身への影響
歯周病は口腔内への影響のみならず全身へ影響を及ぼす可能性があります。歯周病が悪化すると細菌などが歯ぐきから血管内に侵入して全身へと流れていきます。これにより様々な疾患を悪化させたり罹患しやすくなったりします。下記に歯周病が影響する全身疾患をご説明致します。
心筋梗塞・狭心症
認知症、アルツハイマー病
アルツハイマー病の原因は完全には解明されていませんが、一説にはアミロイドβやタウタンパクと言われるたんぱく質が脳に異常に溜まってしまい、脳細胞を損傷したり神経伝達物質が減少することで脳全体が委縮して起こると考えられています。
道川教授の実験では、歯周病に罹っているマウスとそうでないマウスを3か月間飼育してどちらの方がアミロイドβが蓄積されるかを比較しました。その結果、歯周病に罹っているマウスはそうでないマウスに比べてアミロイドβの量が顕著に上昇しており認知症をより進行させている事が分かりました。
歯周病の治療やケアを行うことでアルツハイマー病の発症を予防したり症状の進行を防ぐことが期待されています。
糖尿病
歯周病の治療を行うことで血糖値が低下して糖尿病の症状が緩和されたケースもあります。
誤嚥性肺炎
早産・低体重児出産
歯周病の進行と症状別の治療について
歯周病は放っておくと症状は進行していきます。
進行状況に応じて処置の方法も変わっていきます。
歯肉炎・軽度歯周炎
プラークや歯石が溜まり、歯ぐきが炎症を起こしている状態です。赤く腫れてブヨブヨとしている事があります。まだ軽度な状態ですのでこれ以上症状を進行させない為に、正しい歯みがき方法の指導と歯石除去を行います。この段階ではご自宅での歯みがきと歯石除去だけで1週間~2週間ほどで歯ぐきはかなり良い状態に戻る事が多いため出来るだけ早くご来院されることをおすすめいたします。
中度歯周炎
中度まで歯周病が進行すると歯を支えている歯槽骨が半分近くまで溶けて歯がぐらつくようになります。そのため、このまま放置してしまうと歯を失ってしまう可能性が高まります。軽度の状態よりも深い位置に歯垢や歯石が溜まっているため、場合によっては歯ぐきを切開して歯垢や歯石を取り除く外科的な処置(フラップ手術)が必要になることがありますが、まずは進行を止めるために歯垢、歯石の除去とご自宅での歯みがきの指導をしたのちに定期的にご来院いただき歯周病が進行していないかチェックをしていきます。
重度歯周病
重度まで歯周病が進行している場合、歯槽骨が大きく失われている状態ですので歯が抜けてしまう可能性がかなり高くなります。まず、歯周病の進行を止めるために原因となっている歯垢・歯石の除去をします。場合によってはフラップ手術をして歯垢や歯石を除去する必要があります。また、歯周組織が大きく破壊されている為、これらの組織を再生させる歯周再生治療をおこないます。それでも症状が改善されない場合やそもそもこれらの治療が既に出来る状態ではない場合、残念ながら抜歯となります。
フラップ手術
フラップ手術後の注意点
・術後、麻酔が完全に切れるまで飲食は控えてください。
・傷口を糸で縫合しますので歯科医院で抜糸を行うまで触らないようにしてください。
・手術当日は飲酒をお控え下さい。
・手術当日はお口を強くゆすぐと血が止まりにくくなりますのでご注意ください。
歯周病を予防するには?
歯周病の原因は歯垢(プラーク)にあります。そのため、プラークが付着しないように毎日の歯みがきやデンタルフロスを使用するなどのセルフケアがもっとも重要です。かつ、セルフケアだけでは除去しきれない歯垢や歯石を歯科医院で定期的に除去することで歯周病のリスクは大幅に下げる事が出来ます。
つまり歯周病を予防するには正しいセルフケアと歯科医院での定期的なケアが重要となります。