審美治療をお考えの患者様へ
保険治療は虫歯や歯周病などを治療して『噛めるようにする』という機能回復が主な目的であるのに対して、審美治療は機能回復に留まらない、色や形の美しさを追求できます。
保険適用内の治療には様々な規定がある為、対応出来る治療や使用できる材質の範囲に限界があります。一方、自費治療は保険治療のような制限がない為、選択肢の幅が大きく広がります。
保険適用内の治療は、最低限の機能回復を目的としているため、見た目を良くしたいという患者様のご要望にお応えすることが難しい場合もあります。こういった場合に自費治療を選択することになります。自費治療になると費用は高くなってしまいますが、より質の高い治療を行うことが可能となります。
使用する材質や治療方法の幅が広くなることで見た目の美しさはもちろんですが、歯をより長持ちさせることができます。下記では当院で対応している審美治療をご紹介いたします。
詰め物・被せ物の種類
1.ジルコニアセラミック
ジルコニアセラミックはセラミックの中でも強度の非常に高い被せ物です。従来のセラミックは食器などに使われるものと同じ素材で作られていたため、見た目は綺麗ですが割れやすいデメリットがあり、奥歯など強い負荷がかかる部分には使用することが少ない被せ物でしたが、ジルコニアセラミックは通常のセラミックをジルコニアで補強されている為、奥歯にも使用できる強度を持った被せ物です。
メリット
・強度が高い為、割れにくい
・金属アレルギーの方も安心して使用できる
・変色することがない
2.キャスタブルセラミクス(ニケイ酸リチウム系セラミック)
キャスタブルセラミクスとは、ニケイ酸リチウム系ガラスを主成分とした素材で作られる被せ物・詰め物のことです。透明度が高く自然できれいな仕上がりになります。ニケイ酸リチウムガラスは、強度が350mPa~400mPaとなっており、天然の歯に近いため、柔らかすぎず硬すぎない特徴があり、強い力が加わった際に自身の歯を痛めません。
メリット
・比較的安価である
・見た目が自然で綺麗な仕上がり
・程よい強度がある
・経年による変色が無い
デメリット
・ガラス素材の為、強い力では割れてしまうことがある
3.ガルバノクラウン
ガルバノクラウンとは内側が99.9%以上の純金で出来ており、外側にセラミックを焼き付けた被せ物です。内側が純金で出来ている為、歯との適合性が良く歯ぐきの黒ずみも起きません。ゴールドの明るい色調で美しい天然の歯に近い仕上がりとなります。
メリット
・内側が純金の為、生体親和性に優れており歯ぐきに優しい
・通常の金属のように歯ぐきが黒ずむことがない
・色調が美しく仕上がりがきれい
・金属アレルギーの発生が少ない
デメリット
・高度な技術を要する為、比較的高価になる
・対応している医院が少ない
4.ゴールド
金合金で出来た被せ物・詰め物です。ゴールドは他の金属と比較すると鋳造精度が高く、柔らかく伸びやすい性質があるので被せ物と歯の間のすき間をぴったりと埋める事が出来ます。それによって二次虫歯を防止することが出来ます。
メリット
・強度が高く壊れにくく外れにくい
・二次虫歯になりにくい
・吸水性が無いため劣化しにくい
・歯ぐきが黒ずんでしまうことがない
デメリット
・自然な歯とは色が異なるので目立ちやすい
・治療費用が比較的高価になる
5.メタルボンドクラウン
メタルボンドクラウンとは内側が金属で出来ており、外側はセラミックを焼き付けた被せ物のことです。外側がセラミックで出来ているため見た目が良く強度にも優れた被せ物です。
メリット
・見た目がきれい
・内側が金属なので割れにくい
・強度が高いためブリッジにも使用できる
デメリット
・金属アレルギーの方は使用できない
・色合いはセラミックのみの素材には劣る
・経年により金属が溶けだして歯ぐきが黒ずむことがある
6.ダイレクトボンディング
ダイレクトボンディングとは虫歯を削った部分に数種類の歯科用プラスチックを直接盛り付けて自然な歯のように仕上げる方法の事をいいます。通常の修復方法は削った部分の型を採って詰め物や被せ物を作製して後日装着する流れでしたが、ダイレクトボンディングは直接詰めていくため短期間で治療が出来ます。
メリット
・短期間で治療を行うことが可能
・自然な歯のような仕上がりになる
・歯を削る範囲が少ない
・部分的な治療が可能
デメリット
・適応できる症例が限られる
・強度はあまり無いため欠けてしまうことがある
・経年により変色することがある
7.ラミネートべニア
ラミネートべニアは、前歯の表面を薄く削りその部分にセラミックの薄い板状のものを貼り付ける治療です。正中離開(すきっ歯)や変色した歯を歯質形成を最小限に抑えながら行うことができます。
メリット
・見た目がきれい
・治療期間が比較的短い
・すきっ歯にも対応出来る
デメリット
・保険適用外の為、比較的高価である
・健康な歯の表面を削る必要がある
・歯ぎしりや食いしばりがある方は適用できない
保険適用内で受けられる白い歯
ハイブリッドCAD/CAM冠
イラストの4番~4番までの部分はCAD/CAM装置を用いたハイブリッドセラミクスが保険適用できるようになりました。6番の歯も7番の歯が残存している場合は適用となります。また、今までは適用外だった前歯(1番)も適用となりました。
セラミクスとプラスチックを組み合わせたのがハイブリッドセラミクスで、柔らかい素材のため周囲の歯を傷付けません。自費の材料に比べると変色やツヤの減少が起こりやすく、条件や部位が限られるものの、保険が適用されるため比較的安価に治療を行うことができます。
また、金属を一切使用していないため金属アレルギーを引き起こしてしまう心配もありません。
メリット
・保険適用なので比較的安価である
・金属アレルギーの方も安心して使用できる
・硬すぎない素材なので周囲の歯を傷つけない
デメリット
・保険適用される条件がある
・割れる恐れがあるため歯ぎしりやかみ合わせの状態によっては使用できない
・色合いはオールセラミックの素材より劣る
当院の被せ物の精度を高めるための取り組み
プロビジョナルレストレーション
プロビジョナルレストレーションとは、被せ物を最終的に装着する前に試験的に装着する仮歯のことです。ただの仮歯とは大きく異なり、プロビジョナルレストレーションは最終的に装着する被せ物が患者様にとって最適な形と機能になるように様々な評価をするための仮歯です。しっかりと噛み合っているか、装着時の違和感は無いか、見た目は整っているかなど他にも様々な観点から評価して修正をしていきます。そして、プロビジョナルレストレーションで得た情報を最終的な被せ物に反映していきます。更にプロビジョナルレストレーションは最終的な歯が入るまで歯ぐきの状態を整える効果もあります。快適で長持ちする被せ物にするために非常に重要な役割を果たします。
圧排糸、個歯トレー印象法、シリコン印象
シリコン印象法
印象法は他にも寒天・アルジネート連合印象法という方法があります。
《寒天・アルジネート連合印象法とは?》
寒天・アルジネート連合印象法とは寒天が原料の印象材とアルギン酸と石膏を混ぜたアルジネート印象材の2種類を使用した印象法です。材料費が安く手間がかからない利点があります。
自費治療の場合シリコン印象法を採用しております。シリコン印象法は材料費が高く手間も寒天・アルジネート印象法よりも掛かりますが再現度の高い歯の模型を作る事が可能です。出来上がった模型を基に被せ物を作るので、この模型の再現度が低ければ最終的にセットする被せ物の精度も必然的に低くなるのです。当院では被せ物を完成度の高く、長期にわたって使用できるものにしたいと考え、シリコン印象法を採用しております。
圧排糸
型取りをする際に歯と歯ぐきの間に圧排糸を入れる事によって歯と歯ぐきの間にすき間が出来ます。この処置をすることによって次のステップであるシリコンを使った印象を採る際により深い位置まで型取りをすることが出来ます。深い位置まで印象を採れることで最終的な被せ物をセットした際に被せ物と歯ぐきの境目が非常に綺麗に仕上がる為、精度の高い治療をおこなう重要な処置となります。
個歯トレー
トレーには種類があり、「既製のトレー」、「個人トレー」、「個歯トレー」とあります。まず既製のトレーは印象材の厚みがそれぞれの箇所で異なる為、印象材が固まった際にひずみが出てしまいます。対して個人トレーは患者様のお口に合わせてトレーから作る為、印象材の厚みも薄くなることでひずみが少なく精度が上がります。個歯トレーは更に印象材を薄くして印象を採る為、ほとんどひずみが無くかなり精度が高い完成度となります。